金色の師弟
それでも、ルイはアデルを追い掛けたい。
住む世界が違っていても、その背中を掴みたい。
しかし、そう思うことが、途方も無くおこがましいことのようで怖かった。
アデルはきょとんとした顔でルイを見つめる。
そして、ゆっくりと笑みを浮かべると頷いた。
「追い掛けてこい、ルイ。お前は俺だけを見ていればいい」
不敵に微笑むアデルの声は力強く、ルイを惹き付ける。
思えば初めて見た瞬間から、ルイはアデルばかりを見つめていた。
じっと見つめるルイの視線を受け、アデルは肩を竦めて前を向いた。
「……それが愛の告白なら嬉しいんだがな」
「なっ、違います!私は純粋に憧れて……」
軽い調子のアデルに、ルイは真っ赤な顔でムキになって反論する。
アデルの調子はいつもと変わらない。
あまりにも同じすぎてルイはアデルの気持ちを見失いそうになる。
もしかしたら、昨夜の告白もどこかで勘違いをして意味を取り違えていたんじゃないか。
あれは、告白ではなかったんじゃないか。
そう疑いたくなるくらいに、いつも通りのアデル。