金色の師弟
アデルは前だけを見据え、進んでいく。
遭難しているというのに怖くないのは、アデルがしっかりと手を掴んでいてくれるからだ。
「エルク様のために、あの弓を使わせて頂きたいものだ……」
アデルの呟きに、ルイはアデルの腕を掴みながら笑顔を浮かべた。
「大丈夫です、アデルさんなら金色の弓に相応しいはずですから!」
ルイの曇り無き笑顔。
不思議と気持ちが楽になる眩しい笑顔に、アデルは何度も元気づけられてきた。
「弓使いも、エルク様を想っている方もアデルさん以上の方はいませんから」
買い被りすぎだ、と笑おうとして止める。
代わりにアデルはルイの頭を撫でて、微笑んだ。
「ありがとう、ルイ」
それはとても穏やかで美しい笑顔だった。