金色の師弟
三国の西国、デモンド。
国の豊かさを体現するかのように巨大な城の一室で、男は深く溜め息を吐いた。
「オネスト国も強情だな……」
果実酒の入ったグラスを手の中で弄びながら、男は目の前に座る兄へと視線を向ける。
グラスを持つ男こそが、現在三国に対する疫病神となっているデモンドの王弟であった。
「まぁ、焦るな。オネストも我らに侵略されることを恐れているのだろう」
「それがちゃんとわかってて抵抗してくるから、余計に欲しくなるんだよなぁ」
子供が玩具をねだるような口調の弟に、国王は苦笑してみせた。