金色の師弟
「丁度シェーダの王様がオネストの寝たきり国王を見舞ってるみたいだし、こりゃあメルディも出番なしかな」
「おそらくはな。上手くいけば楽でいいが」
もう作戦が成功した気でいる弟に、国王は鋭い視線を飛ばす。
弟は唇を尖らせ、テーブルに頬杖を付いた。
「そういえば、シェーダっていえば有名なのいるじゃん」
「あぁ。弓騎士アデルか」
「そうそう、それそれ。王のお気に入りなんだろ?」
国王は頷くと、薄く笑んだ。
軽口ばかりの王弟が、思わず口を閉ざす程にぞっとした笑顔だった。
「例え作戦が失敗しても、あの男さえ始末出来れば後が楽だ……」
国王は優雅な動作でグラスを手に取る。
どろりとした琥珀色の液体の入ったグラスを持ち上げ、そのまま手を離した。
グラスは重力に従い、床とぶつかり粉々に砕け散る。
中身が飛び散り、床や王の足元を濡らした。
だが、国王はそのようなことを気にも止めず、氷のような笑みを浮かべていた。