金色の師弟

オネスト城の修練場。

金属がぶつかりあう激しい音が響いた後に、アデルの怒声が大気を震わせた。

「そんな力任せの大振りが当たるか!まだお前は剣に振り回されてる!!」

「はい!」

厳しい叱責に応え、剣を握り直すのはルイ。

対するアデルの手にも、剣。

いつもは弓を手にしている二人なだけに、たまたま通り掛かったディンは首を傾げる。

ディンは今回、イアンの護衛としてオネストにやってきていた。

「ノルン殿、二人は何をしているんだ?」

ディンより先に二人の手合せを見物していたノルンは、苦笑混じりにディンを見上げた。

「アデルがルイに剣術を教えているのよ」

「いや、見ればわかるが……。剣術なら、俺やノルン殿のほうが適任だろう?」

確かに、アデルは弓を扱わせれば右に出る者はいないが、剣術に関しては上の下というところ。
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