金色の師弟

「アデル!危ないだろうが!!」

「ちゃんと当たらないように投げたさ。感謝しろ」

「するか!」

ディンは地面に落ちた石とアデルを見比べ、毛を逆立てた猫のようにアデルを睨んだ。

だが、すぐにころりと表情から怒りを取り払い、ルイの背中に視線を向けた。

「アデル、何かしたのか?」

「……」

アデルは答えない。

ディンの何か、というのが何をさしているかわからないから、という理由もあるが、一番の理由はルイが自分を避ける理由に心当たりがあったからだ。

「手でも出したの?」

不意にノルンが口を開く。

ディンとは逆に、直接的な疑問。

落ち着いた声音には、僅かにだが心配の色が浮かんでいた。

首を傾げた彼女は、アデルの正面へと回り込み覗き込む。
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