金色の師弟
ノルンの勘は、正しかった。
アデルにしても、ルイから避けられる理由はそれしかない。
告白をし、返事も聞かずにキスをした。
自分でも唐突過ぎたと思う。
ルイの気持ちも無視して、自分の想いを押しつけた。
相手がルイでなかったら、もっと上手く、罠に掛けるように自分に目を向けさせることが出来た気がする。
そんなことは当たり前だ。
好きでない相手になら、いくらでも計算が出来る。
アデルは深く溜め息を吐いて、頷いた。
「キスした」
「は?」
「え?」
端的なアデルの一言に、ディンとノルンは口をぽかんと開けたまま彼を見つめた。
アデルの言葉を理解するまでに数分を要した。
そして、先に口を開いたのはディンだ。
「……ルイに、か?」
「他に誰がいる」
眉をしかめ、疑り深い視線を向けるディンに、アデルは苦笑してみせた。