金色の師弟
ディンは眉をしかめたまま口を開け、アデルを見つめている。
あまりに間抜けな面だった。
そして、ディンは急に表情を引き締め、手合せを申し込むときと同じ顔になった。
「……お前みたいな浮ついた奴にルイはやらん!!」
「……お前はルイの保護者か」
これではまるで父親だ。
苦笑し肩を竦めるアデルに、ディンは真剣な表情で詰め寄った。
「真面目な話だ、アデル」
「……」
ブラウンの瞳に射ぬかれ、アデルも真っ直ぐに見つめ返す。
ディンが場を和ませる冗談として口にしたわけではないとわかったからだ。
「あいつは真面目で素直で純粋だ。努力家でもあるし、何事にも一生懸命で好感も持てる。要するに、俺からしてみればルイは可愛い部下だ」
「あぁ」
「だからな、アデル。俺はお前のような浮ついた男の気紛れに、ルイを巻き込んでは欲しくない」
ディンの感情は、妹を大切に思う兄のようであった。
浮いた噂が多いことは事実。
アデルは、黙ってディンの言葉に耳を傾ける。