金色の師弟
ルイの瞳はただ真っ直ぐにアデルを映している。
「常に自分の射程を維持しているのはアデルさんの方です」
「さっきの一撃は?」
ルイは左右に首を振る。
「あれはディン隊長が跳ばされたんです」
「跳ばされた?」
「はい。アデルさんの攻撃を避けるために跳ばされ、そこで攻撃に転じました。……しかし、アデルさんはそれを狙ったんです」
イアンは目を伏せると、「あぁ」と小さく頷いた。
「そういえばやけに避け方が綺麗だったね」
「はい。……誤算は、今の二射が共に叩き落とされたことでしょうね」
ディンの身体能力とセンスが、アデルの予想を少々上回っただけのこと。
ルイはアデルの背中を見つめた。
まだ遠い背中は大きく、そして頼もしい。
(私もいつか、この人を越えられたら……)
見つめる瞳は恍惚にとろけ、まるで愛しい人を見つめるような表情を浮かべている。
その横顔を見つめ、イアンは小さく笑みを零した。