金色の師弟

アデルはディンから目を離さず、にやりと笑った。

「まさか、叩き落とされるとはな」

「ふん、油断したか?」

「少々見くびっていたかもしれん」

挑発的なアデルの言葉に、ディンは笑みを深める。

「なら、次は本気で来い」

言われなくとも。

アデルは心の中で呟いて、すかさず矢をつがえ弦を引いた。
手の動きに気付きディンも距離を詰める。

直線的な動きは矢の動きと重なるため、大きく右回りにアデルとの距離を詰めていった。

アデルの放った矢は、ディンの通り過ぎた先へと虚しく飛んでいった。

距離を詰められては不利だとアデルはつがえた矢を一旦外し、ディンに背を向け走りだす。

距離を伺うように肩越しにディンを確認しながら、アデルは進む。
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