金色の師弟
苛立っていても綺麗な人だとルイは思った。
ルイの視線と、アデルの視線が絡み合う。
慌ててルイが目を逸らした。
その時、アデルがふっと頬を緩める。
普段通りの涼やかな微笑に、ルイは目を丸くしアデルを見上げた。
「アデル、さん?」
「ん?」
「……怒ってないでしょう?」
確信を持った質問に、アデルはくっと笑う。
悪戯を成功させた子供を連想させる楽しげな笑みに、ルイは唇を震わせる。
完全にからかわれていた。
アデルを怒らせたのではないかと狼狽えるルイの姿を、アデルは楽しんでいたのだ。
「っ、アデルさん!」
「何だ?」
アデルは頬杖を付いて、目を細める。
鋭い金色に射ぬかれ、ルイは一瞬頬を朱に染めた。
だが、悪怯れる様子のないアデルの態度に、ルイの中では怒りが勝った。