金色の師弟
「もう知りません!」
少なからずアデルを苛立たせてしまったことに罪悪感を感じていたルイは、微かに頬を膨らませふいと顔を背けた。
「そう拗ねるな」
「……」
つん、とそっぽを向いたままのルイに、アデルは苦笑しながら手を伸ばす。
手の甲で膨れた頬を撫で、そのまま頬に掛かる金糸の髪をすくい上げた。
ルイは頬の赤みを増しながらも、アデル相手に無意味な抵抗をし続ける。
「頬膨らませて、可愛いだけだぞ」
「……」
可愛い、にはルイも慣れてきたらしい。
それはつまり、ルイがアデルの言葉を真に受けなくなったということ。
心の中でため息を吐いて、アデルはルイの髪をいじるのを止め、皿の上にある食べかけパンを手に取った。
「アデルさん、それ私の……!」
躊躇いなく自分の口に運ぶアデルに、ルイは慌てて取り返そうと手を伸ばした。