金色の師弟
「これで、会議も一段落だな」
「そうですね。もうすぐ、帰らないと……」
「何だ?淋しいのか?」
からかい混じりに首を傾げたアデルに対して、ルイは呆気ない程素直に頷いた。
「はい……」
少しは反抗するかと思っていたが、アデルは毒気を抜かれてしまった。
ルイは根は素直なのだ。
アデルがからかい過ぎるせいで反抗するだけで、淋しければ淋しいと、嬉しければ嬉しいとちゃんと伝える。
そのことを失念していたアデルは、思わぬ一撃に一瞬言葉を詰まらせた。
「俺も淋しいよ」
「本当ですか?」
またからかうつもりか、と警戒と疑いの籠められた瞳。
仕方ないことだとアデルも諦め、肩を竦めた。
「本当だ。メルディから援軍が来ると聞いたときは、お前に来てほしいと思ってたんだ」
真摯な瞳を向けられ、ルイは照れ臭さから俯いた。
見つめ続けると、捕われて逸らせなくなる。
アデルの瞳には、魔法が掛かっているようだった。