金色の師弟
ルイの心臓が早鐘を鳴らす。
触れている部分が、燃えるように熱い。
離れたいような、離れたくないような複雑な心境。
アデルと過ごす時間は任務や訓練ばかり。
並んで町を歩き買い物をするなんて、考えたこともなかった。
細やかな幸せに、ルイは仕事をくれたマリーンに感謝した。
「あ、あの」
「ん?」
手を繋ぎながらも、黙っているアデルに居たたまれなくなり、ルイは口を開いた。
とはいえ、特に話題があるわけでもなく、視線を向けられルイは声を詰まらせた。
「ま……前に話した一緒の孤児院で育った友達の話なんですけど」
「あぁ」
「彼女も志願しているんですよ」
「そうなのか?」
アデルが興味を示したことに安心し、ルイは笑顔を浮かべた。
「はい。衛生兵に志願して、今はシェーダとの国境付近で頑張っているんですよ」
「ノルダ砦か?」
「はい。名前をユリアと言うんです」
他愛ない話で高鳴る心音を押さえながら、ルイは目的の店を探す。
いつまでも歩いていたいという思いは口に出来ず、はにかむような笑みを浮かべていた。