金色の師弟

「参加させていただきます。ミーナ様の御好意ですし」

その言葉に、アデルは首を傾げてルイを見下ろした。

「……ドレス、あるのか?」

今夜のパーティーのメインはイアンとミーナの婚約祝いである。
一兵士であっても、普段の鎧や修練着で参加するわけにはいかない。
アデルの疑問は最もであった。
ルイは首を振りながら、「でも」と口を開く。

「正装は持ってきているので大丈夫ですよ」

叙勲式や式典に参列する際に着用するメルディ王国近衛兵の正装を、ルイは今回用意していた。
初め、イアンにはミーナの話を聞いてほしいと頼まれていたため、念のために持っていったのだ。
パーティーに着ていく服として、間違えてはいないのだがアデルは盛大なため息を吐いた。

「正装……」

「正装は駄目でしたか?」

元は孤児のルイが王族貴族間の常識など知らぬため、呆れた様子のアデルに不安を募らせる。
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