金色の師弟
アデルと目が合うとルイはすぐに顔を反対へ向け、逸らされるとすぐにアデルがルイの視線の先に入り込む。
そんなことを繰り返す二人の様子を見つめる周囲の瞳は、温かいものだった。
アデルがルイをからかうのはいつものことで、それをよく知る城の人々はいつもの風景に笑顔を浮かべる。
「どうした、ルイ?」
「……」
ルイが再び顔を背ける。
次第にアデルの顔に微笑が浮かび始めた。
自分をからかって遊んでいることがわかり、尚更ルイは意地になり、話を切り出せなくなる。
「ルイ」
「……」
「ルーイー」
「っ……」
右、左、右、と振り回される首。
「っ……ふふ」
とうとう、後ろから二人を見守っていたイアンも吹き出した。
イアンの笑い声に、ルイの肩がぴくりと震える。
頬は朱に染まり、身体は小刻みにふるふると震えだす。
「っ、くく……。すまんな、からかい過ぎた」
主人に笑われたことがショックだったのだろう。
真面目過ぎる弟子の気持ちを察し、アデルは両手を上げて肩を竦めた。