金色の師弟
恨めしげにアデルを見上げ、そっと目を伏せた。
そしてルイは、控えめにぼそぼそと呟く。
「アデルさんはいつもいつも、そうやって何でもないような顔をして、そつなくこなすんです」
「……」
「本当は誰よりも努力していろいろなことを身につけているのに、絶対に努力する姿を見せてはくれないんです。何でも出来るって顔をして、本当に全てをこなし、誰からの期待にも応えてしまう……」
寂しげな呟きに、アデルは一瞬目を伏せた。
しかし、すぐに飄々とした笑顔でルイの頭をぽんぽんと撫でた。
「俺を買い被りすぎだ」
「そんなこと……!」
「……次会うときには、また一段と腕を磨いておけ。期待している」
誰からの期待にも応えてしまうのは、お前も同じだろう?
その一言を飲み込み、アデルは頬を緩めた。
ルイは不安げな瞳を閉じ、顔を上げると笑顔で頷いた。
「はい!」
「出来れば、女としての成長も期待したいが」
「そ、それは……ちょっと」
威勢のいい返事に満足し少しからかってみると、案の定ルイは申し訳なさそうに目を逸らした。
「そっちのほうも、俺が手ほどきしてやろうか?」
「っ!結構です!!」
真っ赤な顔で声を張り上げたルイに、アデルは声を上げて笑う。
また会う時を楽しみにしながら、アデルは狼狽える弟子に柔らかな微笑を浮かべていた。