金色の師弟
修練場には、数人の人影があった。
彼らは、壇上で剣を交える若き二人の近衛兵を見守っていた。
一人は、神速カトル。
そしてもう一人は、弓騎士ルイである。
カトルの切っ先がルイの眼前へと迫る。
僅かに身体を左へ流して避けたルイに休む間を与えず、カトルは返す刀を振り下ろした。
「ルイ、押されてんな」
観戦していた長身で中年の男がぼやく。
同世代らしき隣の男が、唸りながら顎髭を撫でた。
「いや、むしろカトル相手によく頑張ってるんじゃないか?」
ほら、と男は髭から手を離しルイを指差す。
丁度、ルイがカトルの一撃を剣で弾き返したところであった。
弓を専門に扱うルイが、剣士であるカトル相手によく防いでいる。
だが、所詮そこまでのことで、反撃に転じることは出来なかった。
「あとは時間の問題っすね」
二人より若いくすんだ金髪の青年が、頬杖を付いて楽しげに笑う。
中年の騎士たちも、青年の言葉に頷いた。