金色の師弟
ため息を吐いて肩を落としたルイの背中に、不意に覆いかぶさる影があった。
「さっすが、ルイちゃん!」
「きゃあっ!!」
気を抜いている時に背後から抱きつかれ、ルイは反射的にその人物の顔へと拳を決めてしまった。
ルイに抱きついたのは、先程の手合せを観戦していた青年であった。
「あぁ!すいません!」
無意識とはいえ全力で拳を叩きつけたため、青年は顔を押さえてしゃがみこんでしまった。
青年は指の間から笑顔を浮かべ、片手を振る。
「平気、平気。弓も剣も、拳も強いなんて、さすがだよね」
平気、と口にするが青年の笑顔は歪んでいる。
なおも不安げに青年を覗き込むルイの肩を、カトルが後ろから引き寄せた。
「ルイが心配することじゃないよ。今のは自業自得だから」
ね?とカトルは青年に首を傾げてみせる。
ルイに近づく悪い虫は許さないとでも言うかの態度である。
有無を言わせぬ問い掛けに、青年は慌てて頷いた。
空色の瞳が、安堵に細められる。