金色の師弟
この二ヵ月の間に、アデルの異名は漆黒から金色へと変化した。
シェーダ国前王ザカルドの金色の弓。
名高い武器を継承したのは、まだ若き天才弓騎士。
アデルが金色の弓を手に取り日は浅いが、元々名の知れ渡っていた弓と使い手のため、新たな名は地面が水を吸い込むように周囲へと浸透していった。
同時に、二ヵ月の間で様々な活躍が耳に入ってくる。
国内の賊の討伐や、各地の小さな小競り合いの沈静。
そして、騎士団部隊長であると同時に「人材育成部」という新設された部門の補佐官という役職が与えられた。
これは真の意味での軍備拡張を目的とし、エルクが新設させた国王直属の機関である。
今までは騎士団員交替で行っていた志願兵試験の試験官、そしてその後の指導が主な仕事となる。
そして、補佐官であるアデルの役目は志願兵たちの中から優秀な者を見出だし、彼らに相応しい地位なり報償なりをエルクに提案することである。
何をどこまで与えるかの最終決定権はエルクにあるのだが、ここでのアデルの進言が持つ力は大きい。