金色の師弟
国王直下の機関のため、実質のトップはアデルである。
物事を贔屓目で見ることなく、志願兵でも優秀な者を惜しみなくエルクに推薦するアデルの姿は、長く安穏としたぬるま湯に浸かっていた貴族たちには面白くないものであった。
心ない罵倒や小さな嫌がらせを受けても、アデルは涼しい顔で自分の仕事を全うしていると、前にノルンがルイへと教えてくれた。
アデルの忙しさは、目が回るほどのようで、ルイはこの二ヵ月間に一度も彼と会っていなかった。
淋しいというのが本音だが、アデルが頑張っていることを知ると、自分も頑張ろうと励まされるのだ。
会えなくても感じる大きな存在感に、ルイは安心して日々を過ごすことが出来る。