金色の師弟
ルイは空を見上げ、同じに澄んだ瞳を輝かせた。
「私、アデルさんの背中を守れるくらいに強くなりたいんです」
まだ遠い背中に思いを馳せて、ルイは目を閉じる。
今のルイは、メルディの一近衛兵。
国境を越えて知れ渡るような名前など持っていない、些細な存在。
だけど、いつか。
いつか、肩を並べることが出来たら。
ルイの横顔を眺めていた青年騎士は、唇を尖らせる。
「取り入る隙もねぇのな」
「仕方ないですよ。相手はあのアデルさんですから」
残念そうに肩を落とした先輩騎士に、カトルは苦笑してみせた。
アデルがルイに与えた想いの前では、多少の距離など隙にはなりえないのだ。
「頑張ろう、ルイ。出来る限りの協力はさせてもらうからさ」
カトルはルイを鼓舞するように力強く言い、ルイの頭を撫でた。
空色の瞳にカトルを映し、ルイは心底嬉しそうに頷いてみせた。
妹のように可愛かった後輩の成長に、嬉しさと淋しさの交じった複雑な想いでカトルは頬を緩めた。