金色の師弟

アデルの技を見た者はだれもが言う。

『あんなこと、誰にも出来ない。彼は天才だから。自分とは程遠い存在だ』

と。

実際、カトルもそうであった。

カトルは剣を使う者であったが、初めてアデルが同時に三人の賊の身体を射ぬいたときには鳥肌が立った。

同時に、次元が違うと思い知った。

だが、隣で同じものを見ていたルイは違った。

その技を次元が違うと諦めることはしない。

努力すれば出来るのではないかと、その背中を追い掛けることを決めたのだ。

「……そりゃ、可愛がりたくもなるよねぇ」

「え?」

カトルは呟き、にっこりと笑う。

才がある、次元が違うと遠巻きにされていたアデルを、ルイは追い掛けた。

そして、その背にくらいついた。

アデルはルイに対しても他の弟子と同じ教えしかしていない。

ただ、彼女は見ていた。
アデルの背から、目を逸らさず、その技を吸収していった。
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