金色の師弟
頭を下げたままの兵士に気付き、イアンはにっこりと微笑んだ。
「報告ありがとう。城門警備の最中だったよね?仕事増やしてごめんね」
労りを籠めた穏やかな口調に、兵士はさらに頭を下げた。
「いえ、これも仕事の一つですから。イアン様のお心を患わせるようなことではありません」
「そう言ってもらえると、僕も嬉しいよ。これからもよろしくね」
「はっ!失礼します」
頭を下げ、男は立ち上がると来た道を戻っていった。
すでにライラのことなど頭にはなく、イアンから掛けられた言葉で胸が一杯になっていた。