金色の師弟

驚愕に顔を歪ませたイアンを横目で確認しつつ、ライラは顔色一つ変えずに地図上の丸印をなぞっていく。

「ちなみに、隣に小さく星印が付いている町は、ここ一、二ヵ月のうちに新たに兵士が派遣された場所だ」

「ほとんどじゃないか!」

思わず声を荒げてライラを振り仰いだイアンは、きつく唇を噛んだ。
国境沿いに兵を集めるということが、何を目的とするのか。
そんなもの、一つしかないだろう。

「名目は、二ヶ月前に僕達が捕まえた賊の残党に対する警備の強化。だが、明らかにこれは僕らを狙っている」

ライラは拳を握り締め、眉間のしわを深めた。
そして、すぐにいつもの無表情に戻ると再びマントの中から紙の束を取出し、イアンに押しつけた。
イアンは受け取ると、慎重に紙面に目を通しながらめくっていく。

「……税が引き上げられた?」

「あぁ。それも、四ヶ月も前から」

イアンは頭を抱えようと手を動かしたが、そんな行為に意味はないと気付き、紙束を強く握り締める。
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