金色の師弟

アデルは、必ずルイに何かを見せて帰っていく。

どうせすぐには会えないのだから、それまでにゆっくりと身につければいい、と。

もしも、一度に全てを見せてしまえば、ルイはその全てを吸収しようと無理をする。
そう、確実に。

カトルは感心して頷いた。
今更ながらにアデルの心遣いに気付く。

ルイの性格をよくわかっていて、上手く彼女に無理をさせない程度に努力をさせている。

まだ子供なルイには、そこまでは理解出来ないだろうが。

「やっぱりアデル将軍は格好良いよ」

見た目の話ではなく。
カトルは空を見上げ、情けない声を投げた。

隣に座るルイは、きょとんとした顔で首を傾げる。

「どうしたんですか?」

「ん?将軍の格好良さを思い知っただけ」

ルイは納得いかない様子で眉をしかめ、一応頷く。
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