金色の師弟
ミーナの隣には、彼女を守るように立つ一人の男。
兵士の中にも穏やかな者の多いオネスト王国では珍しく、闘士に満ちた若者である。
実力もメルディのディン、シェーダのアデルにも劣らぬ屈強な戦士だ。
名を、ゴードという。
短い焦げ茶色の髪と褐色の肌、顔や腕に残った多くの傷跡は見る者に強烈な印象を与える。
群青色の緩いパンツと膝までを覆う膝当てと兼用出来るブーツ。
黒いタンクトップのインナーと鼠色をした半袖の上着から覗く二の腕は、木の幹程の太さだ。
彼はもともとは各地を流浪する一人の傭兵であった。
偶然オネスト王国で雇われ、その実力を買われミーナの護衛として彼女に付き従っている。
オネスト王国の王女であるミーナが何故、と二人は疑問に思ったが、すぐに立て膝を付き頭を下げた。
「顔を上げてください。私は威張り散らしたくて声を掛けたわけではありませんよ」
穏やかで伸びのある声に、二人はそっと顔を上げた。
まるで聖母のような笑みを浮かべ、ミーナはそこにいた。