金色の師弟
想いの覚悟

シェーダからの宣戦布告が届いた日から、十日が過ぎた。
ルイは現在、ノルダ砦の建つ山の麓に立つ。
自国の山を見上げるにしては険しすぎる瞳が、不意に伏せられた。

(ここに、アデルさんが……)

ノルダ砦を制圧した将、アデル。
会ってどうなるのかはわからない。
わからないが、ルイにはアデルに言いたいことが山程ある。

どうして、メルディを攻めるのか。
本当にメルディとデモンドが手を組んでいると思っているのか。
エルクは何を考えているのか。

だけど、ルイがアデルを目の前にしたらきっと何も言えなくなる。
アデルを想うだけで、胸が苦しい。
彼に会えたら、何よりもまず喜んでしまう自分がいるようで、怖かった。

「ルイ」

竹を割ったような声に、ルイは振り返る。
馬の手綱を引いたライラが、相変わらずの不機嫌な表情で立っていた。
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