金色の師弟
人のいい笑みを浮かべ、ジョシュアは楽しそうに二人を見比べる。
「私たちはメルディ軍の包囲が完成する前に、ノルダ砦から撤退します」
「折角落とした砦をみすみす手放すのか?」
「仕方がないでしょう?こちらは食料も不足気味、背後は崖で戦闘が始まれば逃げられない。おまけに、なにやらコソコソと補給路を狙っている輩もおりますし?」
ジョシュアはにやりと笑ってみせた。
眉をしかめたライラが、納得しながら頷く。
「一理ある」
「だから、今のうちに逃げさせてもらいます。あぁ、でも指揮官の命令に従わず無駄死にしたいという特殊な価値観の方も中にはいらっしゃいますので、その方々の処遇はお任せしますよ」
その言葉を信じていいものか。
それは、かなりギリギリのラインであった。
「……逃亡するシェーダ兵を見逃せということか?」
「見逃すでしょう?貴方がたの王は」
その通りであったから、ライラは何も答えなかった。