金色の師弟
ノルンは冷たい瞳を真っ向から見つめ返し、ため息を吐いた。
「本当に十分なの?重要な情報はこれから入るのよ?」
「俺が欲しい情報はもう揃った。感謝する」
はっきりと線引をされた。
これ以上何を言われても、線は越えさせない。
その意志が、ひしひしと伝わってくる。
一人で戦うなんて、出来るはずがない。
ノルンはテーブルに身を乗り出して、アデルの腕を掴んだ。
「……お前には弱点があるだろ」
「弱点……?」
腕を掴む力を強めれば、アデルは呆れた様子で目を閉じた。
「花屋の、タクト」
「!」
その名に、ノルンの力は弱まる。
アデルは軽く腕を振ってノルンの手を解くと、視線でノルンを責めた。
「あいつを人質に取られたとしたら、お前はそれでも俺の味方をするのか?」
「……っ」
頷くことが出来ず、ノルンは唇を噛んで俯いた。
好きな相手を人質に取られたとき、ノルンは彼を犠牲にしても貫きたい願いなどあるのだろうか。