金色の師弟

まだ少年の面影が残る丸い瞳を、最大まで丸くして、ルークは焦りながらアデルへ道を開けた。

「丁度いいところでした。今、ジョシュアさんがいらして……」

「ジョシュアが?早かったな」

やや困惑気味に頷いたルークに、違和感を覚える。

「しかし、ジョシュアが戻ったなら俺の元より、エルク様に報告に向かわせるべきだろう?」

「はい。ですが……」

ルークは歯切れの悪い物言いで、とにかくとアデルを邸内へと引き入れた。
先を歩くルークに従い、アデルは首を傾げながら歩を進める。

「……その、ジョシュアさん以外にももう一人いて……」

もう一人、と言われアデルはその人物が全く予想出来なかった。
自身の部隊から連れていったのはジョシュアのみ。
ジョシュアがわざわざ誰かを連れてくること自体が、不可解だというのに。

「誰だ?志願兵出の奴か」

いえ、とルークは首を振り、立ち止まりアデルを振り返った。
丸く黒い瞳に困惑を讃えながら彼が告げた名に、アデルは前触れもなく平手打ちをされた気分になった。
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