金色の師弟

ジョシュアに連れられてやってきたアデルの邸宅は、こじんまりとしていたが、一人で住むには広すぎて、ルイは嫌でも彼との距離を感じてしまう。


王都に近づいたジョシュアは部隊を止めた。
彼らは今、ノルダ砦を見捨てて逃げ帰った兵士たちだ。
どのような処分が下されるかわからない。

『貴方がたはここで待っていてください。処分が軽くなるように交渉してみましょう』

そう言ってジョシュアは部隊を止め、ルイを連れて王都へと足を進めた。
ジョシュアの言葉に、皆半信半疑であったようにルイは思う。
だが、彼に付いてきた者の多くは志願兵出の身分の低い者たちであり、貴族にしても自身の身の保身が一番な者ばかりだったため、あえて止めることをする者はいなかった。
ジョシュアは、ルイを“お気に入り”と称して傍に置いた。

彼の男色家は周囲にそこそこ知れ渡っていたので、目深にフードを被らせて少年と偽ったのだ。

『顔?見せてあげませんよ。女の子のような可愛らしい顔立ちですから、女に飢えた貴方がたに見せて手でも出されたら堪りません』

ジョシュアがそう微笑めば、諦めるしかない。
彼は暗に、手を出したら容赦はしないと言っているようなものだ。
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