金色の師弟

本気で嫌がるルイへ、ジョシュアは可笑しそうな笑みを向けた。

「冗談ですよ、冗談。生憎、私は女性に興味はないので」

両頬を挟まれたまま、ルイは空色の瞳を丸くする。
安心と驚きを入り混じらせた瞳に、ジョシュアは益々笑みを深めた。

「では……同じアデルさんを好きな者同士と言うのは……」

「はい。アデルに欲情するということです。……貴方の場合は、欲情されるのでしょうか」

あえて恋という言葉を選ばず、露骨な表現をしたジョシュア。
ルイは簡単に顔を朱に染め、ジョシュアから目を逸らす。

「よ、欲情って……」

「違いますか?私は行為をしたいかしたくないかは判断基準になると思いますが」

出来るとしたいでは意味が大きく異なる。
大切なのは、誰でもいいのではなく、その人がいいということだ。

ジョシュアは柔らかく目元を緩めた。
穏やかなその微笑にルイは言葉を失う。
人を馬鹿にするような今までの態度とは真逆の、優しい笑顔。
離してほしい、と言い損ねた。
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