金色の師弟

不意に、勢い良く扉が開かれる。

「ルイ!」

「!」

聞き間違えるわけがない、最愛の人の声。
ルイは微かに首を傾け、部屋へ飛び込んできたアデルへと空色の瞳を向けた。

僅かに息を切らしたアデルは、鋭い金色の瞳を丸くしていた。
そして、すぐに鋭さを取り戻した瞳でジョシュアを睨み付ければ、ジョシュアは肩を竦めてルイから手を離す。

「……」

「何もしてませんよ。ね?」

「は、はい」

話を振られ、ルイはぎこちなく頷いた。
久々にアデルと会えたことで、緊張しているようだった。
喉が震え、上手く声が出ない。

アデルが、ゆっくりと一歩踏み出す。
見上げたアデルの表情は、どこか哀しげに歪んでいた。

まるで、いつか見た夢のようで。
でも、目の前にいるのは本物のアデルで。

「会いにいけなくて、すまなかった」

小さな呟きと共に伸ばされたアデルの手を、ルイは躊躇いなく取った。
そのまま、小さなルイの身体は、すっぽりとアデルに包み込まれる。

久しぶりのぬくもりに浸かりながら、ルイは軽く目を閉じ、頭をアデルの胸に押し当てた。
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