金色の師弟

触れられることが、声が聞けることが、嬉しかった。
アデルが無事であったことを、ルイは実感出来た。

アデルはルイを抱き締める腕の力を強めた。
腕の中でルイが小さく息を漏らしたが、気付かないふりをした。
とにかく抱き締めて、ルイの存在を身体全体で感じたかった。

「アデルさん……」

吐息が耳をくすぐった。

「ご無事で、何よりです」

ルイの震える指が、アデルの背中を掴んだ。
怒られるか泣かせるか。
それを想像していたアデルは予想外の一言に、金色の瞳を緩めて頷いた。

「お前もな……」

なるべく声が優しく響くように、アデルはそっと言葉を送り出した。

「……来てくれて、ありがとう」

この言葉には、ジョシュアも驚かされた。
そして、自分の判断は間違っていなかったと確信した。
今まで、過不足なく働いてきたジョシュアが、初めて余計な行動を起こしたのだ。

(賭けに近い部分もありましたが……私の勝ちでよさそうですね)

ルイならばメルディの一兵士という価値以上に、アデルの精神的負担に何らかの光となるだろう。
その予想が当たっていたことに満足しながら、ジョシュアはしばらく二人の抱擁を眺めていた。
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