金色の師弟

食べ物一つで真剣に悩むルイが可愛くて、アデルは机の下で、そっとルイの太股に左手を置いた。
ぴくりと身体を震わせたルイは、困惑気味にアデルを見上げる。
目の前にはジョシュアとルークがいるのに、何をするのか。
空色の瞳がそう訴えていた。

「ジャムを即答してほしかったな」

アデルはわざとらしく唇を尖らせ、ジャムを手元に引き寄せた。
アデルの左手が、円を描くようにそっとルイの太股を撫でる。
驚きに声を上げかけ、ルイは言葉を飲み込んだ。

幸い、目の前の二人は軽い会話を交えながら、食事に集中している。

「どちらも美味しそうでしたから……」

辛うじてルイが答えると、アデルはルイへと顔を近付ける。
アデルの吐息が、ルイの頬を掠めた。
低くて甘いテノールが、ルイの中へと落ちていく。

「お前の方がずっと美味い」

「!!」

ルイは片手で耳を押さえ、アデルから顔を離した。
その間もルイの太股を撫でる手は止まらず、ルイは顔を真っ赤にしてアデルを睨み上げた。
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