金色の師弟

「話があるんだろ?」

「……はい!」

弾かれたように頷いたルイは、一歩アデルへと近づいた。
アデルも数歩足を進め、ルイの腕を掴んだ。
そして、ベッドの近くに置かれていた椅子までルイを誘導し、座らせた。
自分はルイの手を握ったまま、ベッドに腰を下ろした。

「さて、危険を冒してまで俺に会いに来た理由は何だ?」

ルイの手が、アデルの手を握り返す。
弱々しく握り返された手に、アデルは空いていた手を添えて包み込む。

ルイは顔を上げた。
意志の強い空色の瞳に、アデルははっと息を呑んだ。
この瞳に、ずっと心を奪われ続けてきた。
今回も、負けてしまうような気がした。

「……単刀直入に言います。私たちメルディ軍と協力しませんか?」

「……」

意図的に作り出した沈黙にもめげず、ルイはアデルの手を強く握り締めた。

「貴方の目的がこの戦争を止めることなら、それは我が主の考えに一致します。目標が同じなら、協力するのは悪いことではないはずです」
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