金色の師弟

今から顔から火が出る程に恥ずかしい言葉を口にしようとしている。
自覚していながらも口を開いたのは、きっと雰囲気のせいだ。

「アデルさんになら、抱き締められる理由なんていりませんよ」

「ルイ……」

もぞりと身体を動かし、アデルはルイから身体を離した。
小さな身体を恥ずかしさで満たし俯くルイ。

「……大胆な発言だな?」

妖艶に口角を吊り上げたアデルは、ルイの身体をベッドへと押し倒した。
反転する視界の中、ルイの思考は焦りと期待が掻き混ぜられていた。

「キスするのにも、理由はいらないのか?」

広いベッドで、ルイの上に跨るように両膝を立てたアデルは、ルイの頬をそっと撫でた。
真っ赤な顔で、ルイは頷く。
ルイがきゅっと目をつむれば、アデルの優しいキスが目蓋に落ちた。
しっとりとした唇が目蓋から目尻をなぞり、頬へと滑り落ちた。
焦れったくも甘い口付けに、ルイの身体は甘く疼く。

「お前の力を貸してくれ、ルイ」

頬から唇を離し、アデルはルイの耳元に囁いた。
薄目を開いたルイは耳元のアデルに視線だけを合わせ、緩く微笑み頷いた。

「……作戦は明日話すから、だから、今はお前を感じさせてくれないか……?」

アデルは懇願の響きを持つ言葉と共に、肯定の言葉ごとルイの唇を塞いだ。
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