金色の師弟

イアンと残った騎兵が衛生兵を乗せて村へ着いたときには、すでに第一、第三小隊が暴れ回っていた男たちを縛り上げたあとであった。

「イアン様!」

馬から降りたイアンに駆け寄ったディンは男たちを振り返る。

「騒ぎを起こしていた者はあれで全てです」

手足を縛られ転がっている男が六名。
気絶している者もいたが、全員が生きたまま捕らえられていた。
安堵の息を吐くと、イアンは共に村まで駆けてきた近衛兵たちを振り返る。
男たちは捕らえたが、村には血の匂いが充満しており、腕や足を押さえて倒れている者が多くいた。

「怪我人の手当てを急ごう!みんな、協力してくれ!」

それぞれ馬から降りながら頷き、同乗させていた衛生兵たちを下ろす。
地に足を付けた衛生兵たちは、すぐに怪我をした村人たちへ駆け寄った。

イアンも近くで足を抱えて蹲る少年に駆け寄った。

「痛いよぅ……」

「もう大丈夫だからね」

イアンは優しく少年の頭を撫でると、自身のマントを破いて少年の足へ巻く。
他の近衛兵たちも、応急措置程度なら出来るとそれぞれ村人の元へと駆けていった。
< 614 / 687 >

この作品をシェア

pagetop