金色の師弟
「おいしい!」
花が開くように明るくなったユリアの表情を見て、カトルは満足気に頷いた。
「よかった。もっと食べる?」
「いえ、残りは村の子供たちに分けましょう」
ユリアは残りの粥を胃に流し込み、立ち上がった。
自分だけでなく他人をも気に掛けるユリアの姿に、カトルはルイの姿を重ねる。
「君もルイも、すごく優しい子だよね」
「そうですか?」
「うん。自覚ない?」
はい、と頷くユリア。
その姿がまたルイによく似ていて、カトルは笑った。
「君たち、よく似てるね」
「そうですか?」
「うん。……強いて言えば、ルイの方が頑固かな」
「あ、それは確かに」
明るいカトルに吊られてユリアも笑う。
カトルは野いちごを落とさぬように立ち上がり、ユリアの希望通り、子供たちに野いちごを分けるため食事を配給している広場へと向かう。
ユリアも隣に並んだ。
そこで、ユリアはカトルの右腕に切り傷を発見する。
「カトルさん、怪我してますよ!」
「え?あぁ、ホントだ」
ユリアに言われて気が付いたのか、カトルは両腕を上げて傷を確認した。
男たちが振り回した農具が軽く肌を掠めた程度の浅い傷だから、気にも止めなかったのだ。