金色の師弟

ルイは思い出したようにアデルを見上げ、興奮した様子でアデルに一歩近づいた。

「あ、山賊退治の任お疲れさまです。相変わらずの精密射撃に、感動しました!」

「ルイ、お前も腕を上げたな。一月前とは比べものにならないな」

「私はまだまだです。アデルさんに比べたら……」

「俺もまだお前に抜かれる気はないぞ」

「はい!アデルさんは私の目標ですから!」

素直に頷いたルイに、アデルは調子が狂う。

シェーダ王国の軍の中でも、新人兵士や部下の育成をしてきているアデルだったが、ルイのように素直に何でも吸収していく人間は初めてだった。

謙虚で、素直で、努力家でいて貪欲。

しかし、時々その素直さが危うくて仕方なくなる。

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