金色の師弟
揺れる三国
濃紺の空を、朝日が薄く照らしている。
乱雑に生える木々。
葉の間から地上に届く木漏れ日が、薄暗い修練場の一角を明るく照らす。
深緑の中、金色の風が吹き抜けた。
否。
風ではない。
金糸の髪を高い位置で団子状に纏めた少女が駆け抜けたのだ。
右手には矢、左手には弓。
ルイは一点、目の前にそびえる巨木のみを見つめる。
力強い一歩を、踏み切りルイは巨木へと飛ぶ。
そして、右足で巨木を蹴り更に高く飛んだ。
深く根を張った巨木が震えた。
羽が生えているかのように軽がるとルイは宙を舞う。
高さが頂点に達した瞬間、ルイは地面へと背を向けていた身体を強引に捻りながら、弓を構えた。
ルイの視線の先には、一枚の葉がひらりひらりと舞い落ちる。
無理矢理に捻った身体で弓を引く姿は、見る者が息を止めるほどに美しい。
それ程までに高い完成度を誇る。
ルイは引き絞った弦から手を離した。
放たれた矢は一筋の光の道筋を通り、吸い込まれるように葉を貫いて木に突き刺さった。