金色の師弟
美しい曲線を描いて、ルイは右足から着地する。
すぐにルイは振り返ると、自身の放った矢が葉を確実に打ち抜いたことを確認した。
呼吸を忘れ、ルイはじっと矢を見つめる。
そして、顔中に笑みを広げた。
それはとても幸せそうで、心からの喜びであることがよくわかる。
「やっ……たぁ!!」
声をひそめながらも、喜びの隠しきれずにルイはその場で小さく跳ねた。
アデルがシェーダに帰ってから一月。
人間ではなく、葉っぱが相手だったが、ようやくルイはアデルの技の模倣に成功したのだ。
(出来た!早くアデルさんに見せたいなぁ)
考えてから、ルイは思い切り首を振る。
アデルと会う機会といえば、三国間の定期会議以外ではオネストでの賊討伐が多くなる。
そんな人の不幸を待ち望むような真似をしてはいけない。
ルイは振っていた首を止めると、少しだけ唇を尖らせて呟いた。
「……ただ、会いたいだけなのに」
明らむ夜の木々の間を、一陣の夜の風が走り抜けた。
真正面からルイにぶつかった風は、まるで笑うように彼女の髪を乱し消えた。