金色の師弟

ディオルの雷が落ちる前に、ルイは頭を下げる。

「申し訳ありません!」

「はは、気にしてないよ。とっても大切な考え事だったんだよね?」

「いえ……いや、その……はい……」

大切な考え事。

イアンの言葉に身体の体温が上がる。

肯定しづらかったが、イアンが現われたことにも気付かずに俯いていたのに、大したことではないとは言えない。

イアンは穏やかな笑みを浮かべると立ち上がった。
その姿をルイは目線を上げて追い掛ける。

立ち上がったイアンは真剣な瞳でルイを見下ろす。

「オネストで、山賊被害が発生した」

「……!」

ルイは大きく目を見開く。
どくん、と大きく心臓が跳ねた。

小さな歓喜が存在していたことを、ルイは無視出来なかった。
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