金色の師弟
「場所はデモンド王国との国境沿いの村だ。デモンドとシェーダの国境は山脈になっているのは知っているね?」
ルイが頷く姿を見て、イアンは話を続けた。
「おそらく、そこを拠点にしている。デモンドでも被害を受けているという話だ」
そこまでを話すと、イアンは王座へと段差を登る。
そして、片手で王座の縁を撫でた。
「討伐の任は、丁度エルクがアルノム王を見舞いに行っていたようだから、シェーダの軍に任せることになる」
ということは、今回の討伐にルイたちメルディの兵は出ないということだ。
ならば何故自分が呼ばれたのか。
ルイがそれを訊ねるより早く、一人の少年が兵士たちを掻き分け前へと歩み出た。
「前回の被害からまだ一月しか経っていない。いくらオネストが賊に狙われやすいといっても、これは少々作為を感じる」
かつ、かつ、と靴音を響かせ、少年はルイの隣で足を止めると、身体をイアンへと向けた。
端的な物言いときびきびとした動作が特徴的な少年は、鋭い瞳でイアンを見上げる。