金色の師弟

新緑の瞳で挑むようにイアンを見上げ、後ろで一つに結んだ同じく深緑の長い髪を揺らす。

跪くことはせず、少年は不遜な態度で立っていた。

仏頂面でイアンを見つめる眼差しは、敵意を持って睨み付けているようにも見える。

しかし、その男は常に眉間にしわを寄せているため、イアンは気にせず笑顔を浮かべた。

「ライラが、嫌な感じがすると言うんでね。一小隊をオネストにむかわせることにした。そこに、ルイも行ってほしい」

「……え?」

断る理由などなかった。

しかし、ルイは状況が理解出来ていない。

隣に立つライラが、ルイを見下ろしため息を吐く。

「前にミーナ姫がいらしたとき、最近デモンドからやたらと婚姻を迫られていると話していた。確かに、今のオネストは国王が病床だから狙い目ではある」

「つまりね、ライラはデモンドが怪しいと考えているんだ」

イアンの言葉に、ルイは眉をしかめる。
< 86 / 687 >

この作品をシェア

pagetop