金色の師弟

イアンの話では、被害はデモンドも受けているという。

「デモンド国内にも被害はあるんですよね?」

「嘘かもしれないし、自作自演かもしれない。他国からの情報など鵜呑みに出来ない」

ルイの問いを叩き潰すように淡々と語るライラ。

イアンも頷く。
その瞳は、不安に揺れていた。

「オネスト王国は同盟国だ。もしも侵略の可能性があるのなら僕らには守る義務がある」

イアンは伏せた瞳を上げると、ルイへ真っ直ぐな視線を向ける。

「だが、僕は一人の男としてミーナの力になりたい」

瞳、言葉、表情。

イアンの全てから、真剣でひた向きなミーナへと思いがルイに伝わる。

「ルイ、君は兵たちの中で一番ミーナと歳が近い。不安を感じているようなら話を聞いてあげてほしいんだ」

「そういうことでしたか……」

ルイは呟き、頭を下げる。

「その任務、喜んでお受け致します」

微笑を浮かべルイを見つめるイアン。

対照的に、ライラは眉間のしわを一層深めてルイを見下ろしていた。
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