金色の師弟
アデルは冷たい瞳で、ルイを見下ろす。
冷たい風が、伸ばされたアデルの黒髪をさらう。
纏う雰囲気の変化に、ルイは窺うようにアデルを見上げた。
「お前は本当に無防備だな」
「アデルさん……?」
アデルが両手を木に付ける。
木を背にしていたルイは、アデルの腕の中に捕われた形となった。
不安げな空色の瞳を覗き込む金色の瞳は、無表情にルイを見据える。
「さて、この状況。お前はどう対処する?」
「え?」
「背後は壁で、目の前には男。時間は夜中で周りに人はいない」
まばたきを繰り返し、戸惑いの色を浮かべたルイ。
アデルの言葉の意味が理解出来ていないのだ。
これでは純粋を通り越してただの無防備であった。
アデルは盛大なため息を吐いて、顔をルイの耳元へと近付けた。
「少しは身の危険、感じろと言っているんだ」
「なっ、なな、何を……!!」
アデルの言葉の意味を悟った瞬間、ルイは音が鳴る程にはっきりと顔を真っ赤にして俯いた。