金色の師弟

鍵となるのは……ライラ。

エルクは口元に笑みを浮かべ、視線は書状の上に向けたままアデルに問う。

「お前はメルディ王国のライラに会ったことはあるか?」

ライラ、という名はルイから何度か聞いたことがあったが、アデルは直接会ったことはなかった。

名前だけは、と答えるとエルクは口元の笑みを深めた。

「俺は、一度だけ会った」

「どんな方なのですか?」

アデルが聞いた話では、ルイより若くとても頭が切れるという。

人付き合いは苦手だけど、根はいい人だとルイは笑っていた。

「面白い奴だった。俺をシェーダの王子だと知っても、尊大な態度を崩さなかったからな」

その光景は伝統を重んじる貴族たちにとっては面白くないだろう、とアデルは苦笑する。

だがエルクははっきりとしているものを好むため、多少無礼だとしてもライラを気に入ったのだ。
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