☆消えてしまったわたしの赤ちゃん☆14歳の妊娠・・・ ~セックスを軽く考えないで~
高校に入学してから、早くも一ヶ月がたとうとしていた。


朝早起きして電車に乗ることにも、高校生活にもなれてきた。





五月の初め。


木々の青葉が美しいさわやかな季節。


それはもしわたしが赤ちゃんを産むことができていたら、美幸が生まれることになっていた月、出産予定日になるはずだった月だった。



あのとき中絶しなければ、美幸はわたしのおなかのなかで成長して、小さな豆粒ほどの姿から、普通の赤ちゃんの姿になって、この世に生まれるときを待っていた。


そのことを考えると、胸が押しつぶされそうな気持ちになる。


辛くて、悲しくて、ただただ涙が溢れてしまう。




わたしは高校の帰りに、駅前できれいな花とお菓子を買った。


花は花瓶に活けて、わたしの部屋の窓辺に置いた。


そしてお菓子はいつものお皿の上に置いて、お供えした。


このお皿は、かっちゃんが買ってくれたあのお皿だ。



かっちゃんとは別れてしまったけど、わたしは今もこのお皿を使っている。


かっちゃんは美幸のお父さんだから、このお皿を使ったほうが、美幸が喜ぶかもしれないと思ったから。



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